相続税の申告手続きの方法は?流れ・手順・計算方法を相続専門税理士がわかりやすく解説

相続税 手続き

税法の改正で相続税の基礎控除額が大幅に小さくなりました。その結果、相続後の税金の支払いを心配する方が増えています。

ひとつの目安ですが、首都圏の持ち家にお住まいで、金融資産を2,000万円以上お持ちの場合、相続税支払いの対象となる可能性が高いです。こう考えると意外と多くの方が相続税の対象になりそうで、ますます心配になりますね。

そこでこの記事では、初めて相続を経験する方が、相続税の申告と納付をスムーズに進められるよう、具体例を交えて解説します。

最後まで読めば、相続税申告の手続きと手順がわかりますので、ぜひ早めにお読みください。

相続初心者さん

心配だなあ‥今すぐに私の相続税の概算を知りたい!

それでは、相続税申告の手続きと手順の解説を始めます。

1.相続税の申告手続きの手順と期限

はじめに、相続税の申告手続きの流れを理解しましょう。

1-1.相続税の申告手続きの流れ

相続発生から、相続税の申告が完了するまでの流れは、以下となります。

相続税申告手続きの流れ

(1)被相続人死亡
(2)相続人の特定
(3)相続財産の特定
(4)相続財産の評価
(5)遺産の分け方を決定
  (5−1)遺言書の有無の確認
  (5−2)相続するかしないかを判断
  (5−3)遺産分割協議
(6)各人の受け取る財産を特定
(7)各人ごとに各種控除を差し引く
(8)各人ごとに納付税額を計算
(9)相続税の申告
(10)相続税の納付
(11)相続財産の名義変更

それでは、上記【相続税申告手続きの流れ】にしたがって、各手続きを解説していきます。

ただ、手続きに着手する前に、絶対に知っておいて欲しいことがあります。それは、相続税申告手続きの期限です。すべての手続は、申告および納付の期限日から逆算し、間に合うように進める必要があります。申告手続きの期限は、忘れないようにしましょう。

1-2.相続税の申告および納付期限

相続税申告の期限は、相続があったことを知った日から10ヶ月です。期限内に上記の手続きをすませる必要があります。

【参考】
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。

出展引用:国税庁タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税

つまり一般的には、被相続人が亡くなって10ヶ月までの間に、相続税の申告と納付を済ませる必要があります。

それでは相続税の申告手続きの流れにもどり、必要な作業を見ていきましょう。

2.相続人を特定し税申告の要不要を特定

まずはじめに相続人を特定し、その後で税申告の必要があるかどうかを調べます。相続税を申告しなくてはならないのは、次の条件にあてはまる人です。

【相続税の申告をする人】

・法定相続人
・受遺者(遺言で遺産を渡すと指定された人)

法定相続人とは、法的に自動的に相続の対象になり、遺産を相続できる人のことです。受遺者とは、被相続人の遺言で遺産を受け取る事になった人のことです。相続税申告について考える必要があるのは、この2つの立場の人になります。

ただし対象財産の金額によっては非課税となり、申告・納税の必要がなくなることがあります。また「税額控除」が適用されて、非課税となったり税額が下がることも。この「控除」については、後で別途解説しますね。

3.相続税の課税対象の財産を解説

相続税の対象となる財産は、被相続人が所有していた財産です。

・被相続人名義の土地
・被相続人名義の建物
・預貯金
・株式

といったものが、被相続人所有の財産に該当します。他に、いわゆるタンス預金や自動車、骨董品、貴金属といった有形財産も対象です。

注意する点は、相続税は財産1つ1つに対して課税されるのではないこと。相続財産の総額に対して課税されます。

つづいて、課税対象の財産種類について解説します。

3-1.課税対象になる一般的な相続財産

まず、課税対象となる「一般的な相続財産」について解説します。

課税対象の一般的な相続財産
不動産(土地)宅地・農地・山林・原野・牧場・借地権・地上権・賃借権
不動産(建物)家屋・倉庫・駐車場・借家権・マンション・アパート
金融資産現金・預金・有価証券・公社債
動産家具・貴金属・宝石・書画骨董品・自動車
各種権利著作権・特許権・商標権・電話加入権・ゴルフ会員権
事業用資産機械・備品・商品・原材料・農産物・牛馬・売掛金

不動産や金融資産はイメージしやすいですね。しかし、各種の権については意識したことがない方が多いかもしれません。しかし、もし亡くなった方が作家やアーティストであれば、作品の著作権や商標権を持っています。こうした権利は富を生み出しますから財産になります。また事業用の資産も相続財産です。

3-2.課税対象になる特殊な相続財産

一般的な財産の他にも、相続税の課税対象になる財産があります。課税対象のその他の相続財産について、順番に解説します。

3-2-1.課税財産1 みなし相続財産

みなし相続財産とは、「相続・遺贈によって取得したとみなされる財産」のことです。この説明ではよくわからないですよね。もう少し詳しく解説します。

みなし相続財産とは「保険契約もしくは雇用契約に基づいて被相続人の死亡に伴って支給され、その支給の基因となる保険料や労務の提供を被相続人が行っていたもの」です。具体的なみなし財産とは、生命保険の死亡保険金や死亡退職金などが該当します。

相続税対象の生命保険の死亡保険金と死亡退職金については、500万円×法定相続人の数までは控除が認められます。したがって、同じ金額の現金で残しておくより、生命保険にしておく方が節税になると考えることができます。

生命保険と相続についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。

3-2-2.課税財産2 生前贈与の財産

被相続人から生前に贈与された財産のうち、相続開始前3年以内に贈与されたものは相続税の対象です。

節税のために生前贈与を活用しようと考える方は多いのですが、3年以内に贈与されたものは、既に贈与税を払っていたとしても相続税の対象になります。
(注:納付済みの贈与税は相続税額から控除可能です。)こちらの記事で贈与税と相続税のどちらが有利か詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。

3-2-3.課税財産3 相続時精算課税の贈与財産

被相続人の生前に「相続時精算課税制度」を用いて贈与した財産は、相続税の課税対象です。

【相続時精算課税とは】

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

出典引用:国税庁

相続時精算課税を使って贈与した場合、贈与額が累計2500万円までなら、贈与税は発生しません。

しかし贈与者が亡くなった後に、相続時精算課税による贈与財産に対しては相続税がかかります。つまり、相続時精算課税を使った贈与には贈与税はかかりませんが、相続発生後にまとめて相続税が発生するのです。

つづいて、相続税の対象外の財産を解説します。

4.相続税の課税対象外の財産

被相続人から受け取る財産には、相続税の課税対象外のものがあります。対象外の財産は、以下です。

【相続税の課税対象外の財産】

(1) 財産価額の合計が基礎控除の範囲内の財産
(2)相続発生前3年以内に相続人および受遺者以外に対して贈与した財産
(3)法令により課税対象外と定められた財産

(1)について補足します。3章で解説した課税対象の財産であっても、財産の価額が基礎控除内なら課税対象外になります。

(2)について補足します。こうした贈与を受ける人の例として、よくあるのは孫への遺贈です。

(3)について補足します。法令で課税対象外となっている財産には5つのパターンがあります。次で1つずつ詳しく解説します。

4-1.課税対象外の財産1礼拝道具や仏具

一般的な礼拝道具や仏具は亡くなった人をまつったり祈るための道具であり、課税対象とはみなされません。

ただし、換金性が高く日常的に使われていない仏具・神具の場合は、相続税の課税対象とみなされることがあるのでご注意ください。

【換金性の高い道具の例】

・純金製のおりん
・純金製の仏像

4-2.課税対象外の財産2 宗教や慈善事業のための財産

相続人が宗教団体や慈善団体の運営、または更生保護事業といった公益事業を行っている場合は、「その公益事業のためにお金を使うことが確実」な部分については、相続税の課税対象外となります。

4-3.課税対象外の財産3 心身障害者扶養共済制度の給付金受給権

心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金(年金)は、相続税の対象外です。

心身障害者扶養共済制度とは、心身障害者の保護者が心身障害者のために掛け金を支払っておき、保護者が死亡した後に、遺された心身障害者に対して一生涯年金が支払われるという共済制度です。この心身障害者扶養共済制度の給付金受給権に対しては、相続税はかかりません。

ただし共済を脱退して脱退一時金を受け取った場合は、課税対象となります。

4-4.課税対象外の財産4 教育事業用の財産

被相続人が幼稚園などの教育事業を営んでいた場合、事業用の土地や設備などには相続税がかからない可能性があります。幼稚園の他に、盲学校や養護学校なども非課税対象です。

課税対象外となる条件は以下の通りです。

・5年以上継続して事業運営していること
・税申告に漏れがないこと
・相続後に事業を継続すること

非課税制度を適用するには申請が必須です。ただし申請書作成の難易度は高いです。制度適用をお考えでしたら弁護士や税理士など専門家にご相談されることをおすすめします。

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4-5.課税対象外の財産5 特定の法人に寄付した財産

相続人が相続税の申告前に条件を満たす寄付をしていた場合に、その寄付金は課税対象から除外できます。

以下が除外対象の寄付です。

【相続税の対象外の相続人による寄付】

・国への寄付
・地方公共団体への寄付
・特定の公益団体への寄付(※注1)

以下は、寄付による控除をする際の注意事項です。

※注1 
特定の公益法人への寄付が金銭ではなく、土地・建物・有価証券など譲渡所得対象の資産の場合(※注2)は、相続課税と別に、みなし譲渡課税の対象となります。みなし譲渡課税の対象になった場合は、国税庁長官の承認が必要です(※注3)。ただし、承認が得られるまでは3年程度かかります。

※注2
措置法第70条

※注3
措置法第40条

出典:国税庁ホームページ『No.4105 相続税がかかる財産』

5.相続財産価値の評価

相続する財産を特定したら、その財産価値の評価をします。評価方法は、国税庁のタックスアンサー情報を元に評価します。

国税庁・タックスアンサー 『相続財産や贈与財産の評価』

6.相続財産の分け方を決定

相続税の金額計算をする前に、相続財産の分け方を決めねばなりません。

相続財産の価値がわかれば、分け方を決めやすくなります。したがって財産が特定されたら早めに価値評価し、分配のやり方を決めましょう。

財産の分配に大きく影響するのが以下の項目です。

・遺言書の内容
・財産の価値
・相続人の数
・法定相続分

したがって、早めに遺言書の有無を確認し、相続財産の価値を特定して相続するかしないかを判断しましょう。そして必要なら遺産分割協議を開催して、相続財産の分け方を決定してください。

以下は、相続財産を分配するために必要なことです。

【相続財産を分配するために必要なこと】

・財産の評価
・遺言書の有無の確認
・遺産を相続するかしないかの判断をする
・遺産分割協議をして遺産の分け方を決める

7.相続税の計算方法

相続人と相続財産を特定すると、相続人全体にかかる相続税の概算が計算できます。実は相続人の人数で、相続税の総額は変わります。人数が多いほど相続税は少なくなる仕組みになっています。

正確に相続税を計算するには、もっと細かい情報が必要ですが、まずはわかる範囲で概算を計算してみましょう。

7-1.相続税早見表で相続税の概算をチェック

当税理士法人にて相続人全体の相続税を調べるための早見表を作成しました。相続人の組み合わせが以下のケースに当てはまるなら、これからご紹介する早見表で相続全体の概算相続税がわかります。

1.相続人が被相続人の配偶者と子どもの場合
2.相続人が被相続人の子どものみの場合

7-1-1. 相続人が配偶者と子どもの場合の相続税額早見表

相続人が配偶者と子どもの場合の相続税額早見表をご紹介します。被相続人に配偶者がいる場合、相続税総額は大きく引き下げられます。配偶者の税額軽減の特例が使えるからです。

早見表でわかるのは、以下の相続税総額の概算です。

・配偶者+子どもが1人の場合
・配偶者+子どもが2人の場合
・配偶者+子どもが3人の場合
・配偶者+子どもが4人の場合

課税価格の
合計額
子どもの数
1人
子どもの数
2人
子どもの数
3人
子どもの数
4人
5,000万円40万円10万円0円0円
6,000万円90万円60万円30万円0円
7,000万円160万円113万円80万円50万円
8,000万円235万円175万円138万円100万円
9,000万円310万円240万円200万円163万円
1億円388万円315万円263万円225万円
1億1,000万円480万円393万円325万円288万円
1億2,000万円580万円480万円403万円350万円
1億3,000万円680万円568万円490万円425万円
1億4,000万円780万円655万円577万円500万円
1億5,000万円920万円748万円665万円588万円
1億6,000万円1,070万円860万円767万円675万円
1億7,000万円1,220万円975万円880万円788万円
1億8,000万円1,370万円1,100万円993万円900万円
1億9,000万円1,520万円1,225万円1,105万円1,013万円
2億円1,670万円1,350万円1,218万円1,125万円

相続人の数が多いほど課税総額は少なくなります。

7-1-2. 相続人が子どものみの場合の相続税額早見表

以下でご紹介するのは、相続人が子どものみの場合の早見表です。配偶者の控除が使えないので課税総額は大きくなります。

早見表でわかるのは以下4パターンの相続税の概算です。

・子どもが1人の場合
・子どもが2人の場合
・子どもが3人の場合
・子どもが4人の場合

課税価格の
合計額↓
子どもの数
1人
子どもの数
2人
子どもの数
3人
子どもの数
4人
5,000万円160万円80万円20万円0円
6,000万円310万円180万円120万円60万円
7,000万円480万円320万円220万円160万円
8,000万円680万円470万円330万円260万円
9,000万円920万円620万円480万円360万円
1億円1,220万円770万円630万円490万円
1億1,000万円1,520万円960万円780万円640万円
1億2,000万円1,820万円1,160万円930万円790万円
1億3,000万円2,120万円1,360万円1,080万円940万円
1億4,000万円2,460万円1,560万円1,240万円1,090万円
1億5,000万円2,860万円1,840万円1,440万円1,240万円
1億6,000万円3,260万円2,140万円1,640万円1,390万円
1億7,000万円3,660万円2,440万円1,840万円1,540万円
1億8,000万円4,060万円2,740万円2,040万円1,720万円
1億9,000万円4,460万円3,040万円2,240万円1,920万円
2億円4,860万円3,340万円2,460万円2,120万円

早見表で相続人全体の相続税額がわかります。

各相続人ごとの相続税を計算するには、各自が相続する財産に控除や特例を適用て課税対象価額を特定し、そこに相続税の税率を掛けて算出します。

7-2.相続税の税率

相続税率は、国税庁が公開する『相続税の速算表』に掲載されています。

【相続税の速算表】

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

出典:国税庁 相続税の速算表

8.相続税額を引き下げる税額控除と特例

特例や税額控除を適用すると、相続税が下がったり相続税の支払いが必要なくなったりする方も多いです。

特例や控除を適用して相続税を下げるためには、相続税の申告をしなくてはなりません。申告しない場合は特例を適用できないことになります。

以下に相続税の税額控除と特例をご紹介します。

【相続税の減額になる主な税額控除と特例】

・基礎控除
・小規模宅地等の特例
・配偶者の税額軽減
・未成年者控除
・障害者控除
・相次相続控除

各控除と特例について次で詳しく解説します。

8-1.基礎控除

基礎控除の計算方法です。基礎控除額の詳細は下記の国税庁ホームページの情報を元にします。

国税庁 相続税の申告のためのチェックシート

【基礎控除額の計算方法】

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

基礎控除額は、3,000万円プラス600万円✕法定相続人の数です。例えば、法定相続人が1人なら基礎控除額は以下のとおり。

◉相続人1人の基礎控除の計算例

3,000万円+(600万円✕1)=3,600万円

法定相続人が1人の場合の基礎控除額は3,600万円ということです。

8-1-1. 基礎控除の範囲内なら申告の必要なし

相続財産が基礎控除より少なければ、相続税申告の必要はありません。

8-1-2.養子と相続放棄は注意が必要

法定相続人の中に養子がいる場合と相続放棄した人がいる場合は、基礎控除の条件が変わるのでご注意ください。ただ相続放棄を法定相続人も基礎控除を計算するときの「法定相続人の数」に含めることができます。

【基礎控除額計算での追加条件まとめ】

・子どもが養子で他に実子がいる場合、法定相続人に含められる養子の数は1人まで
・子どもが養子で他に実子がいない場合、法定相続人に含められる養子の数は2人まで
・相続放棄した人も法定相続人に含める

8-2.小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人が所有する自宅や事業用の宅地について、評価額を下げられる特例措置のことです。小規模宅地等の特例についてはこちらの記事で解説しています。また、小規模宅地の特例適用で必要な添付書類と手続きについてはこちらの記事でまとめていますのであわせてお読みください。

小規模宅地等の特例を適用するためには、相続税の申告が必要です。

8-3. 配偶者の税額軽減

相続税の配偶者控除とは、以下の特例のことです。

・配偶者が相続する財産が評価額1億6,000万円までなら税金がかからない
・1億6,000万円を超えた場合も民法で定められたとおりの相続分の範囲内であれば税金がかからない

配偶者控除を適用すると、配偶者の相続税額は大きく軽減できます。ただし、配偶者控除を適用するためには、相続税の申告が必要です。

8-4. 未成年者控除

未成年者控除とは、相続人が満20歳未満の場合に、以下の計算式で計算した金額を控除できるというものです。

【未成年者控除の計算方法】

未成年者控除金額=満20歳になるまでの年数✕10万円

未成年者控除により相続税がかからなくなる場合は、相続税の申告は不要です。(根拠となる法律は、相続税法27条の規定です。)

8-5.障害者控除

障害者控除により相続税がかからなくなる場合は相続税の申告は不要です。(根拠となる法律は相続税法27条の規定です。)

【相続税の障害者控除の計算式】
満85歳になるまでの年数✕10万円(※20万円)

※特別障害者の場合は1年につき20万円
出典引用:国税庁タックスアンサーNo.4167 障害者の税額控除

8-6.相次相続控除

『相次相続控除』により相続税がかからなくなる場合は、相続税の申告は不要です。(根拠となる法律は相続税法27条の規定です。)

【相次相続控除とは】

相次相続控除とは、過去10年以内に相続税の納税をした人が死亡し被相続人となった場合に、一次相続の相続税を二次相続の相続税から一部控除できる、というものです。

9.相続税の申告手続きの方法

課税対象者と課税対象の財産を特定し、分け方を決めて、特例や控除を適用した相続税の計算ができたら、申告手続きをします。

9-1.相続税の申告書の書き方

相続税の申告書を書くには、国税庁WEBに掲載されているフォーマットを参考にしましょう。記入方法の手引も国税庁WEBに掲載されています。

参考:国税庁  相続税の申告手続


9-2.相続税の申告手続きで用意する書類

相続税の申告書には指定の書類を添付します。相続税の申告書に添付する書類は以下です。

・戸籍謄本・住民票(被相続人、相続人)
・戸籍の附票(相続人)
・印鑑証明書(相続人)
・不動産の書類
・有価証券の書類
・預貯金の書類
・生命保険の書類
・債務に関する書類
・葬儀に関する書類

出展:国税庁 相続税の申告の際に提出していただく主な書類


10.相続税申告期限に遅れると追徴課税

申告期限に遅れた場合、以下のような追徴課税が課される可能性があります。余計な出費を増やさないよう期限内に申告を済ませましょう。

・無申告加算税
・重加算税
・延滞税

相続税申告が期限に遅れた場合の追加課税についてはこちらの記事でも解説しています。あわせてお読みください。

11.税務署から相続税についての案内が届いたら

被相続人が亡くなり半年ほど経つと、税務署から「相続税についてのお知らせ」または「相続税の申告書についてのご案内」が届く場合があります。これらは、受け取った人が相続税の対象になっていることをお知らせするために送られるものです。

「相続税がどういう税金か知ってますか?」
「相続税がかかる可能性があるのでご連絡ください」

という意味の通知です。お知らせを受け取ったら、本記事で解説した手順を参考に手続きを進めましょう。

12.まとめ

相続税申告の流れと手続きを解説しました。最後までお読みいただきありがとうございます。

やり方がわかっても、

・自分でやるのは難しい
・時間がない
・自信がない
・面倒くさい
・専門家に頼みたい

とお感じになられたなら、ぜひ相続専門の税理士にご相談ください。

税理士を選ぶ時の注意点ですが、ぜひ「相続税に強い税理士」を選んでください。選び方がわからない場合は、ネット検索して上位表示される事務所から最低3社に見積もり依頼し比較して決めましょう。なおこちらの記事で相続に強い税理士の選び方を解説していますので、ぜひあわせてお読みください。参考になります。

わたくしども税理士法人ともにも相続専門の事務所です。相続税の申告を年間200件以上承っております。初回無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

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